技術とか戦略とか

IT技術者が技術や戦略について書くブログです。

情報処理技術者試験対策「見積もり手法」

情報処理技術者試験で出題されることがある見積もり手法について、紹介していきます。
今回紹介するのは、主に大規模なウォーターフォールのプロジェクトで使われる見積もり手法です。
 
なお、実態としては、直感的に決めてしまうこともあります。
例えば、アジャイルではストーリーポイント(https://akira2kun.hatenablog.com/entry/2018/07/08/002646)のような直感的な手法が用いられますし、小規模な保守案件だと有識者が感覚で決めることも少なくありません。
しかし、見積もり手法を学ぶことでその直感の精度も上がるので、たとえ直接的に使わなかったとしても見積もり手法の発想を学んでおいて損はありません。
 
ボトムアップ見積もり】
WBSをもとに作業工数を積み上げて算出する見積もり手法です。
「標準見積もり」とも呼ばれます。
 
【類推見積もり】
類似する案件の工数を参考にして工数を見積もる手法です。
 
【三点見積もり】
楽観値、悲観値、最可能値(最も生起確率が高い値)の三点を算出する手法です。
 
パラメトリック見積もり】
過去の案件の分析結果を元に、パラメータ(係数)を用いて見積もりを行う手法です。
具体的には以下のようなものがあります。
 
・ハルステッドモデル
ネットで調べると「プログラムステップ数から規模を見積もる手法」と出てきますが、正確に言うとプログラムの中に出現する演算子と被演算子の数を数えることで規模を見積もる手法です。
(「演算子」(オペレータ)とは「+」とか「-」といったどのような計算を行うのかを示す要素であり、「被演算子」(オペランド)とはそれらの計算を行う対象となる数字や変数のことを指します)
 
ファンクションポイント法
機能ごとに複雑さに応じたポイントを与えることで、規模を見積もる手法です。
言葉で説明するよりも以下のページに掲載されている表を見て直感的に把握した方がわかりやすいと思います。

見積もり仮想体験の旅へ、いざ出発! (1-3) - ITmedia エンタープライズ

https://www.itmedia.co.jp/im/articles/0901/15/news130.html

 
・COCOMO
ベームという研究者が63件の案件を分析して作成した算術的な計算式により見積もりを行う手法です。
工程ごとに3つのモデルが存在し、プログラムステップ数をベースに、チームの規模や技術力や案件の制約に応じた補正係数をかけ合わせて規模を算出します。
詳しいことは以下のページに説明されています。

COCOMO (Constructive Cost Model)によるプロジェクト工数の見積もり

http://itref.fc2web.com/management/cocomo.html

 
・putnamモデル
開発工数に関するマンパワー曲線(どの工程でどの程度人数をかけるのかを示した曲線)の概念を適用した見積もり手法です。
運用・保守工程を含めたシステムライフサイクル全般をカバーできるのが特徴であり、総工数から各工程の工数を見積もることができます。
 
・Dotyモデル
比較的小規模な案件に適した分析手法です。
開発規模から開発工数を決定できる統計的な関係式を提供するベースライン型モデルと、開発環境の要員も考慮できる多変量型モデルが存在します。
 
【その他の見積もり手法】
以下のような手法があります。
 
Delphi
「多数の専門家に見積もり依頼を出す→見積もり結果の集約→再度見積もり依頼を出す…」を繰り返すことで、見積もり結果の収束を行うという手法です。
----------------------
目次

https://1drv.ms/b/s!AivF3bzWXOzuhG1Xk5hscKYqkLkM