技術とか戦略とか

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情報処理技術者試験対策「M&A、アライアンス、グループ経営」

M&A、アライアンス、グループ経営についても情報処理技術者試験で出題されることがあります。
今回の記事では、過去問で出題された範囲を説明するだけでなく、新規の問題に対応できるように体系的に説明します。
 
自社の戦略を実現する上で、自社の資源(人・物・金・情報)だけでは足りないことがあります。
足りない資源についてじっくり育てる手もありますが、手っ取り早く他社の資源を活用する手もあります。
他社の資源を活用する手として、M&A(Merger and Acquisitions:合併と買収)、アライアンス(提携)、グループ経営といった手段があります。
 
M&A
M&Aとは、その名の通り他の企業を買い取り自社に取りこむことを指します。
近年では、コンビニ業界でファミリーマートがサークルKサンクスをM&Aしたのが有名だと思います。街中でファミリーマートをやたらと見るようになったのはこのM&Aの影響が大きいです。
この例に限らず、M&Aは業界の勢力図を一変させることが多く、影響力が大きい手段です。
 
M&Aは、買収する側には戦略の実現に必要な人・物・情報を短時間で入手できる利点があり、買収される側にも金の問題が解決し自社の戦略の選択肢が広がる利点があります。
(ちなみに、私の前職は買収される側でしたが、買収されることで投資資金を用意することが可能になり、ホスト資産のオープン化や定期的な新機能リリースといった思い切った戦略を実現することができました。買収する側も、これまで手が出なかった層の顧客にアプローチが可能になり、業界内で一通り影響力を行使できるようになるメリットがありました。こうした経験から、M&Aの効果を実感しています。)
 
なお、M&Aは下記のように分類できます。
(試験ではこの分類まで出題されたことがあります)
「敵対的M&A」や「投機型M&A」は少し特殊でイメージしにくいかと思いますが、日本では村上ファンドが代表例なので、気になる方は調べてみて下さい。

  • 事前合意の有無
    友好的M&A…買い手と売り手の事前合意によって行われるM&A
    敵対的M&A…売却意思のない企業に対して行われるM&A。株式の大量取得により経営権を掌握することで行われる。
     
  • 動機
    戦略型M&A…近視眼的な資金の問題ではなく、長期的な企業戦略上の必要性により行われるM&A
    救済型M&A…経営破綻した企業を救済するために行われるM&A
    投機型M&A…買収した企業の企業価値を高めてから売却することで利ザヤを得るために行われるM&A
     
  • 事業との関係
    水平統合M&A…同じ市場の競合企業に対して行われるM&A
    垂直統合M&A…同じ市場で、異なる工程(購買、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービス)を担う企業に対して行われるM&A
    多角化M&A  …異なる市場の企業に対して行われるM&A
     

【アライアンス】
アライアンスはM&Aよりも緩やかな他企業間連携です。
経営権の移動こそないものの、お互いの企業戦略の実現のためにお互いの資源を出し合うことで、友好的M&A・戦略型M&Aのような効果を得ることができます。
例えば、自動車業界では、トヨタSUBARUのアライアンスが比較的有名かと思います。
トヨタは巨大な資本、SUBARUはスポーツカーの技術力を提供することで、お互いにメリットを得ています。
 
【グループ経営】
グループ経営とは、資本関係を持つ企業間でお互いに協力し、グループ全体で競争優位を獲得しようとするものです。
ノウハウや資産の共有、グループの規模の大きさを活かした交渉力強化、付加価値創造に直結しない間接業務を一括して行うことによるコスト削減等、様々なメリットを得ることができます。
(私の前職も、買収されグループの一員となった後はこれらのメリットを享受していました。)
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目次

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この度、色々な方にこのブログをご覧いただくことができました。この場を借りてお礼申し上げます。
今の所は記事の広さも深さも不十分ですが、何かを感じ取ってもらえれば幸いです。
今は情報処理技術者試験で出題される経営戦略手法の知識について一通り説明しているため戦略関係の記事が続いていますが、コメント等で希望をいただければ技術関係の記事を書きます。
 
なお、記事の書き方についてもアドバイスを頂けたので、今回の記事から構成を少し変えてみました。