「ニーズ」「ウォンツ」とはマーケティング用語であり、人間が何かを求める時の行動を分類したものです。
それぞれ、以下の意味で使われます。
ニーズ …生活を送る上で感じる満ち足りない状態
ウォンツ…ニーズを満たすための具体的な手段
例えば、「本棚を作るためにドリルを求める」という行動については、ニーズとウォンツをそれぞれ以下のように分類できます。
ニーズ …木の板を加工して本棚を作っているが、穴が無いために組み付けができない
ウォンツ…穴を開けるためのドリルが欲しい
人間の行動を「ニーズ」と「ウォンツ」に分類することで、効率的な戦略を探しやすくなることがあります。
例えば、以下のような例が挙げられます。
・マーケティングの例
観測しやすいのは具体的なウォンツですが、ここに着目してしまうと競争に巻き込まれやすくなります。
しかし、裏の目的であるニーズに着目すると、競争を避けやすくなります。
例えば、婚活市場では、女性は年収の高さを男性に求めることが多いです。
男性側の視点では、年収の高さの勝負を苦しく感じる人が多いと思います。
そこで、「年収の高さを求める」というウォンツの背景にあるニーズを考えてみると、「安定した結婚生活を送りたい」というのがニーズであることが多いです。
このニーズに着目し、堅実さをアピールすることで、年収の高さの勝負を避けやすくなる可能性があります。
「年収」のようにわかりやすい数字が欲しいのであれば、「年間の貯蓄額」をアピールすると良いかもしれません。
・交渉の例
交渉時にお互いのウォンツが競合していると、お互いに奪い合いの関係になり、win-loseになったり交渉がまとまらなくなったりして、お互いに利得を得ることができなくなります。
そこで、ニーズに着目してウォンツをずらし、競合を解消すれば、交渉がまとまりお互いに利得を得ることができるようになります。
例えば、家の売買では、高く売りたい売り手と安く買いたい買い手でウォンツが競合しがちです。
高額で売買すれば買い手が損しますし、低額で売買すれば売り手が損します。
そこで、お互いの状況からニーズを考えることで、お互いのウォンツをずらして競合関係を解消できる場合があります。
例えば、売り手のニーズが「早く資金を手に入れて次の家を購入するための頭金に回したい」、買い手のニーズが「手元にある老後資金をなるべく溶かさずに家を買いたい」である場合、売り手のウォンツを「低額でも良いからすぐに現金化する」、売り手のウォンツを「すぐに代金を渡すことで低額で済ませる」といった形で、微妙にウォンツをずらすことができます。
このように競合関係の解消を解消すれば、「すぐに低額の売買代金を支払う」という落とし所で交渉をまとめることができます。
・協調の例
人それぞれでニーズは異なりますが、異なるニーズの人々のウォンツを1つの方向にまとめることができると、多くの人を引き付けることができるようになります。
多くの人をひきつければ規模を拡大することができ、規模の経済のメリットを活かすことができるようになります。
例えば、対戦要素がある商業ゲームを成功させるためには、多くの人を引き付けて売上を伸ばすことが鍵になります。
娯楽に関して人々のニーズは様々なものがあり、「世界観を楽しみたい」「交流を楽しみたい」「論理的な思考を楽しみたい」といったものがあります。
ここで、「人気キャラクターを用いて適度な運要素がある対戦ゲームを提供する」という商業ゲームを提供した場合、これらのニーズを全て満たし、「その商業ゲームをプレイする」という一つのウォンツにまとめることができます。
このように様々なニーズに対応すれば、多くの人を引きつけ、売り上げを伸ばすことができます。