技術とか戦略とか

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「自分でやった方が早い病」をやめてみた

自分でなんでもやる仕事の進め方(自分でやった方が早い病)を変えざるを得ない状況になったのですが、いざやめてみると色々と新たに見えてきたことがあったので記事にします。
 

「自分でやった方が早い病」とは、簡単に言ってしまうと人に仕事を任せられずに自分でこなしてしまう心理・状態を指す言葉です。
「個人プレー」「ワンマンプレー」と表現されることもあります。
これをやめることで以下のようなメリットがあります。

 
■組織にとってのメリット
・自分の技術が他の人にも伝わり、組織全体としてレベルアップする
・複数人で作業できるようになるので、アウトプットが増える
・休暇や異動等で自分が居なくなった時にも仕事が回るようになる
・自分の仕事に他の人の目が入ることで、仕事の改善点に気付くことができる
 
■自分にとってのメリット
・自分にしかできない作業に集中できるようになり、作業の品質が良くなる
 (品質チェックと報告、仕事の方向性の検討…等)
・自分だけが残業で頑張らなくとも仕事が回るようになる
 
しかし、実際に仕事を任せてみると、教える時間がかかりますし、普段自分がやらないようなミスもします(そのリカバリーでも時間を取られます)。
自分よりも知識・経験が浅い人に仕事を任せる場合は特にこの傾向が顕著です。そうではない場合も、仕事に慣れる期間は必要なため、この傾向が見られることがあります。
お客様に迷惑をかけることにもなりかねないので、そのことを考えると、仕事を任せるメリットを頭で理解していても自分でやりたくなります。
これが、「自分でやった方が早い病」になってしまう主因だと思います。

(なお、学生時代やプレイヤー時代は「自分でやった方が早い病」の方が成果が出るケースも少なくないので、その成功体験も「自分でやった方が早い病」からなかなか脱却できない理由になると思います)
 
しかし、これは一時的なものです。
仕事を教えつつ、失敗から学ぶ機会を与えることで、いずれは「自分でやった方が早い病」をやめることによるメリットがデメリットを上回るようになります。
品質チェックと報告、仕事の方向性の検討といった作業に集中できるようになり、負荷が増大した時にキャパシティオーバーで作業がおざなりになることがなくなります。その結果、かえって品質が向上します。
他の人が仕事を効率化する方法を思いついてくれることもあり、そのことも生産性や品質の向上に繋がります。
 
仕事が回るようになった後も、他の人のミスのリカバリーが必要になることは確かにあるのですが、いざやってみると大抵なんとかなります。
(「自分でやった方が早い病」な人はどちらかと言うとチェックしすぎな位なので、大事になる前にミスに気付きます。自分がやった方が早いと思える位の知識・経験があるなら、それをリカバリーすることもできます。)
そもそも自分がミスすることもあります(本当に無いと思っているなら、それは他の人に見つかる前にミスを握りつぶしているだけだと思います)。それを他の人に助けてもらえるというのはありがたいです。
 
今までは許されるギリギリの範囲まで残業して仕事を終わらせるやり方ばかりしてきました。
しかし、今の仕事を通して、仕事を任せる大変さ(手順の整備が必要、ミスした後のリカバリーが必要、等)、そしてそれを乗り越えた後の仕事が回る感覚(他の人の作業をチェックするだけで仕事が回る、先の計画を立てる時間を確保できる、早く帰れる)を身をもって経験できました。
仕事の進め方を変えられる雰囲気を作ってくださった周りの方々には感謝しないといけないですね。