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リスクを抑える分散投資の考え方

自分自身は投資らしい投資はあまりしていないのですが、職業柄ある程度の知識はあります。
戦略を考える上で参考になる考え方も少なくないので、他分野への応用が効きそうな汎用的な話を中心に紹介していこうと思います。今回は、分散投資の考え方について紹介していきます。
 
投資先を1つに絞るのはリスクの高い考え方です。
例えば、冷房メーカーのA社にのみ投資をしていた場合、雨ばかりで冷夏の年に株価が下がり、損してしまいます。
しかし、雨具メーカーのB社にも投資していた場合、冷夏の年にはB社の方が株価が上がるので、A社の損失をB社の利益でカバーすることができます。
イメージ図としては以下の通りです。

 

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このように、分散投資の本質は、様々なシナリオに対応できるようにする、という所にあります。
「日本円の貯金ばかりなのは却ってリスクが高い」と言われるのは、財政危機や経済成長で日本円がインフレ(今の1円の価値が将来的に1円未満になってしまう)になるシナリオに弱くなるからです。
また、2008年にリーマンショックが起こったのは、信用力が低い個人の住宅ローンをかき集めて作った商品(サブプライムローン)の収益に証券会社が頼り切っていたためです。信用力が低い個人の住宅ローンを信用力が低い個人の住宅ローンで分散投資していたような形なので、住宅ローン会社が貸付に消極的になりことによりローンを返せなくなる人が次々と現れるシナリオに対応できませんでした。
 
応用としては、各々の投資先への投資額を調整することで、利益が出る確率を高めたり、リスクをより抑えたりすることができます。
先のシナリオがある程度読める場合は、そのシナリオが実現した時に利益が出る投資先への投資額を増やし、他の投資先への投資額を減らすことで、リスクを取りすぎることなく利益が出る確率を高めることができます。先のA社・B社の例で言うと、猛暑が予想される時にA社への投資額を増やすことで、利益が出る確率を高めることができます。
また、値動きが激しい投資先がある場合は、その投資先への投資額を減らし、他の投資先への投資額を増やすことで、値動きの激しさを投資額の少なさで相殺し、全体で見た場合の値動きを穏やかにすることができます。先のA社・B社の例で言うと、A社の値動きが激しい場合は、A社への投資額を減らしB社への投資額を増やすことで、値動きが激しいA社の影響を抑え、値動きが穏やかなB社の影響を強め、結果として値動きを穏やかにすることができます。これをしないと、A社の値動きの影響が強くなるため、猛暑の時には利益が出やすくなる代わりに冷夏の時には損失が出やすくなり、全体としてリスクを抑えきれなくなります。