IT業界では、「人員追加」という計画変更の方法はとにかく評判が悪いです。
Webで検索すると、「炎上プロジェクトで人員を追加したらますます燃え上がった」という話をあちこちで目にしますし、炎上プロジェクトへの対応案としてはまるでアンチパターンかのような扱われ方をすることが少なくありません。
かくいう私も「人員追加=アンチパターン」という認識だったのですが、会社の同僚とプロジェクトマネジメントの話をしている中で、認識が変わりました。
今では、「場合によっては人員追加は合理的な対応策」という認識に至っています。
この「場合によっては」というのは、具体的に言うと「炎上する未来が見えたタイミング」を指しています。
人員追加がダメな理由は、追加した人員を教育するコストがかかるからです。
元々のスキルが不足している場合はもとより、そうでない場合もプロジェクト固有の開発方針や業務知識を勉強してもらうのに時間がかかります。
一旦教育が終われば生産性は向上しますが、目の前の火を消さなければならないような短期決戦では有効な方法ではありません。
しかし、開発スコープ拡大や開発難易度の見誤り等で将来の炎上を予見できたタイミングであれば、短期的な教育コストを後々の生産性向上で取り戻せる可能性が出てきます。
そのような場合に、人員追加という方法は有効になります。
私の経験上も、設計の初期の段階で開発スコープの見誤りに気付き早急に人員追加をかけたプロジェクトが、最終的には成功プロジェクト(決められた期間内に元々の要件をクリアし、お客様からの評判も上々)となったのを目にしています。
私の経験と照らし合わせても、「場合によっては人員追加は合理的な対応策」という認識は正しいと思います。