技術とか戦略とか

IT技術者が技術や戦略について書くブログです。

ダイバーシティのメリットとデメリット

日本でダイバーシティという言葉が使われる場合は、「女性や障害者にとって働きやすい環境を提供して人手不足に対応する」という意味合いで使われる場合が多いと思います。
 
しかし、ダイバーシティの本質は、「多様な従業員を雇い、変化できる企業を目指す」という所にあり、性別や障害の有無のみでなく、国籍、学歴、家族構成や趣味・嗜好の違い等もダイバーシティを生み出す要素になります。
同質な従業員で構成される企業は、従業員同士で特別な配慮が不要なため、現在の事業が時代の潮流に乗っておりかつ事業を広げる必要がない時には高い効率性を示します。
しかし、時代の潮流が変わったり多角化を目指したりする時に、同質な能力・価値観を持つ従業員しかいないことにより、企業戦略を変化させることができずに一気に業績を落とすリスクが生まれます。
 
ダイバーシティのメリットとデメリットを端的にまとめると以下のようになります。
 
【メリット】
1.優秀な従業員を大量に獲得するチャンスが生まれる
採用活動を行う際に、候補者の母集団が広がることにより、優秀な従業員を大量に採用するチャンスが生まれる。
 
2.多様な能力を持つ従業員を確保できる
例えば、女性は調整能力に優れていることが多く、発達障害を持つ者はIT系の仕事に適性を示すケースが多い。
ダイバーシティを実現している企業は、多様な能力を持つ従業員を知らず知らずの内に確保できていることが多い。
例え今の事業では多様な能力を活かせないとしても、事業内容が変わる時に武器になり得る。
 
3.多様な価値観を持つ従業員を確保できる
例えば、居酒屋チェーンの「串カツ田中」は、ファミリー層をターゲットとする戦略を採っている。
具体的には、店を禁煙にしたり「今日はいい子だったからご褒美」と声をかけてソフトクリームをサービスしたりする等の工夫を凝らしているが、このような工夫は実際に子供と触れ合う機会が多い従業員がいないことには具体的には出てこないものである。
顧客に受け入れられるサービスを展開するためには、顧客の価値観と合う従業員が会社の中に存在している必要がある。
事業戦略の転換で対象顧客が変わる際、社内に多様な価値観が存在していれば、顧客の価値観を理解できる従業員がいないという事態を避けられる。
 
【デメリット】
1.ダイバーシティに対する理解が必要
ダイバーシティに対する理解が従業員にないと、能力や価値観の違いから衝突が起こり、最悪の場合は差別が発生する。
そうなると、ある能力・価値観を持っていない従業員が退職し、企業からダイバーシティが失われることにもなりかねない。
そうならないために、従業員を教育する必要がある。
可能なら、採用の段階からダイバーシティの考え方を受け入れられるかどうか確かめた方が良いだろう。
 
2.能力や価値観の違いに対する配慮が必要
例え人間関係的にダイバーシティが受け入れられていたとしても、能力や価値観の違いに配慮した仕事環境が整っていないと、各々の従業員の能力を十分に発揮することができなくなる。
例えば、日本語が不自由な従業員に対しては英語や多言語での対応や図を駆使した手順書の展開等が必要になるし、(一般的な業務が苦手なことが多い)発達障害の従業員に対しては障害の内容に応じた業務の割り振りが必要になる。