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情報処理技術者試験対策「アーンドバリューマネジメント」

目次

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コストマネジメントの手法として、アーンドバリューマネジメントと呼ばれる手法があります。
実際にかかったコストや実際の成果物の量を計画値と照らし合わせることでコスト管理をする手法であり、応用情報や高度情報(PM)では頻出です。PMPの試験でも出題されます。
実務でもPMがよく使っています。
PGやSEの内はあまり馴染みがないと思いますが、PMを目指すなら避けては通れないですし、基本情報でも出る可能性はあるので、これを機に覚えた方が良いでしょう。
 
アーンドバリューマネジメントでは、管理対象の工程についてまずPV(計画価値、Planned Value)を定めます。
PVは「計画工数(人日)×1人日当たりの費用」で求まります。
また、縦軸にコスト、横軸にスケジュールをとると、PVは下記のようにS字を描きます。

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(工程開始時は前準備のため工数を割けない、準備が整い次第工数を割いて進捗、工程完了間際は一部の残作業の消化となるため再び工数を減らす)

次に、実際にかかった費用をAC(実コスト、Actual Cost)として計測します。
ACは「実際の工数(人日)×1人日当たりの費用」で求まります。
ACがPVよりも高ければ予定よりもコストがかかっているということになり、逆に低ければ予定よりもコストが少なく済んでいるということを指します。

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そして、実際に生産された成果物の価値をEV(アーンドバリュー(直訳すると取得価値)、Earned Value)として計測します。
EVを計測する方法としては重み付けマイルストーン法や固定法等がありますが、情報処理技術者試験では金額という形で前提条件として提示されます(今のところは)。
EVがPVよりも高ければ予定よりも多くの成果物を生産できていることになり、逆に低ければ予定よりも成果物を生産できていないということを指します。

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PV、AC、EVの3つの指標を見ることで、進捗状況を把握することができます。
例えば、ACがPVよりも高く、EVがPVよりも低い場合、多くのコストをかけても予定通りに成果物を生産できていないことを指していますので、進捗しない原因を調べて除去する、計画が楽観的すぎでないか見直す、等の対応が必要になります。
 
以下は、PV、AC、EVの3つの指標から算出できる指標です。
これも出題されることがあります(計算式も覚える必要があります)。

  • CV(コスト差異、Cost Variance)
    コストが予算内に収まっているかを計測(CV≧0なら予算内)。
    成果物(EV)を生み出すのに必要以上にコスト(AC)がかかっていないかを計測すれば良いので、
    CV = EV - AC
  • SV(スケジュール差異、Schedule Variance)
    計画通りに成果物を生産できているかを計測(SV≧0なら計画通りかそれ以上)。
    成果物(EV)が予定(PV)よりも早く出来上がっているかを計測すれば良いので、
    SV = EV - PV
  • CPI(コスト効率指数、Cost Performance Index)
    1単位のコストに対する成果物の生産量を示す割合(CPI≧1なら予定以上の効率)。
    CVを指標(比率)として算出したものである。
    CPI = EV / AC
  • SPI(スケジュール効率指数、Schedule Performance Index)
    1単位の期間に対する成果物の生産量を示す割合(SPI≧1なら予定以上の効率)。
    SVを指標(比率)として算出したものである。
    SPI = EV / PV
  • BAC(開始時プロジェクト予算、Budget At Completion)
    プロジェクト全体の予算。
    各工程のPVの合計。
  • ETC(残作業のコスト見積り、Estimate To Completinon)
    残作業で発生するコストの見積もり。
    残作業は、プロジェクト開始時で生産予定の成果物-今まで生み出した成果物である。
    ここで、コストに対する生産量を把握できれば、残作業がどの程度のコストをかければ完了するのかを把握することができる。
    よって下記式となる。
    ETC = (BAC - EV) / CPI
  • EAC(完成時総コスト見積り、Estimate At Completion)
    プロジェクト完了時の実際のコストの見積もり。
    過去の作業の実コストはAC、未来の作業のコスト見積もりはETCで求まるため、下記式となる。
    EAC = AC + ETC

なお、今回は具体的な金額の例を出しませんでしたが、これについては過去問が良い例になりますので、実際に過去問で計算して確かめてみましょう。